ブロークンウィンドウ理論をご存知ですか?
アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案した理論で、軽い犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする理論です。
かつてニューヨークのジュリアーニ市長も、このブロークンウィンドウ理論をもとに、街頭パトロールを強化した結果、5年間で犯罪の認知件数は殺人が67.5%、強盗が54.2%、婦女暴行が27.4%減少し、治安が回復し、中心街も活気を取り戻し、住民や観光客が戻ってきたそうです。
そして、面白いことに、これが組織の中でも成立します。
・元気に挨拶をする。
・時間を守る。遅刻を許さない。
・整理整頓をする。小さいゴミも拾う。
こういった基本行動を徹底することで、組織構成員であるスタッフ一人ひとりの心のコップが上向きになってくるのです。
大事なことは、院長が率先垂範して続けていくことです。
トイレ掃除も含めて、負荷のかかるところからまず院長が行うこと。
かのアップルを立て直したスティーブ・ジョブズがアップル復帰後になにをしたかご存知ですか?
そうです。
常態化していた遅刻や汚い作業環境、風紀の乱れなどのダレた職場意識を徹底的に変える社内改革から始めたのです。
アップルの製品からは、自由な社風をイメージされる方が多いと思いますが、まずは風紀を徹底することによってこその自由な発想なのだと思い知らされる事例ですよね。
また、国内においても、会社再建の名人として知られる日本電産の永守会長が、同様の考え方を実践して成果をあげています。
永守会長いわく、
「やることは二つしかない。一つは6S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ・作法)。職場をキレイにさせること。もう一つは出勤率。休まずに会社に来させること。これらを徹底してやらせることにより、会社は必ず改善する」
とのことです。
いかがでしょうか。
元々の話は、「何回教えても覚えられないスタッフへの教育」でしたが、
まずはそれを自分事として捉え、スタッフが仕事に集中できる環境を整えてあげること。
それによって心のコップが上を向くことで、指導の成果も上がってくる。
遠回りな手法に思われるかもしれませんが、
急がば回れ、です。
6S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ・作法)運動から始めてみることをお薦めします。
次回は、より具体的な教え方について触れていきます。
ちなみに、永守会長のお話の「休まずに会社に来させること」は、テレワークが一般的になってくるとまた少し変わってくるのかもしれません。
しかし、テレワークだからこその6Sということを考えていかねばならないとも読み取ることができると思います。
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