何回教えても覚えられない人への教育法 ①

教えても教えても上達しない。この前教えたばっかりなのにもう忘れてる。

そんな経験はありますか?

多くの歯科医院にとっては、余剰人員を抱えることは出来ません。従業員を100人抱えている企業のうちの1人と、5人しかいないクリニックのうちの1人とでは、1人が1人分の仕事をしないと周りが疲弊してしまうことは目に見えています。

だから、いくら教えても育ってくれないスタッフをいつまでも待てない、周りの出来るスタッフから不満が噴出して、組織が壊れてしまう・・・
どこかのタイミングで辞めてもらうこともある・・・
それを私は否定しません。

問題は、その決断を下すまでに全力を尽くしたかどうか。

出来るスタッフは、指導側のレベルが低くても育つ

私の両親は、両方とも教師をしていました。
2人とももう引退していますが、現役時代は『出来ない子への教育こそ教師の見せどころ』と言っていました。

出来る子は、教師側のレベルが低くても勝手に育つが、出来ない子は、教師側のレベルが高くないと育たない。

つまり、出来るスタッフなら、指導側のレベルが低くても勝手に育つが、出来ないスタッフは、指導側のレベルが高くないと育たないということです。歯科医院は、民間企業であり教育機関ではありませんからすべて当てはまる訳ではありませんが、いくら教えても上達しない事態に遭遇した時は、指導側にどこか改善できるところはないか?まず捉えたほうがいいと私は考えます。

『主体変容』という言葉があります。

この言葉は、松下幸之助翁がよく使われていた言葉で、相手を変えようとするのではなく自分が変わることで周囲に変化が生まれるという言葉ですが、まさにこのことを表しているのではないでしょうか。

心のコップを上に向ける

さて、出来ないスタッフ問題は、自分事の問題として捉えた後はどうすればいいのでしょうか?それは、「スタッフの心のコップを上に向ける」ことです。まずスタッフの心のコップが上を向いているか。教育のスペシャリストの原田隆史さんの言葉を引用します。

私は、人は2種類だと考えています。それは、「心のコップが上を向いているか、下を向いているか」ということです。心にはコップがあります。心のコップが上を向いている人は、周りの人の話や学んだ内容、自分に起きたよいことも悪いことも、水を注ぐがごとくに、そのコップにどんどんと注いでいきます。コップが上を向いている人は、生き方や態度・考え方が素直で、前向きで、真剣です。

反対に、心のコップが下を向いている人もいます。こういった人たちは、周りの人のせっかくのアドバイスも耳に入りません。下を向いたコップに水を注いでもこぼれるのと同じで、自分に起きたよいことも悪いことも、吸収できません。いつも何かに対して不満を持っていて、考え方が後ろ向きで、やる気が持てません。

「心のコップが上向きか、下向きか」

この2種類の人間について最も特徴的な差は、「結果に対しての考え方」に表れます。心のコップが下を向いている人は、結果に対して「どうせ自分には無理」と、自分の「能力不足」を嘆きます。つまりは「他責の念」です。一方、心のコップが上を向いている人は、たとえ結果が自分の願った通りでなかったとしても、「自分がもっとこうすればよかったのだ」と、自分の「努力不足」を反省します。つまり「自責の念」を持つということです。

「心のコップ」は、このようにその人の考え方や感じ方という、いわば生き方全般に影響を与えるものです。

 

もし、スタッフの心のコップが下向きだったならば、いくら良い教え方やノウハウで指導をしたところで吸収せず成長できません。心のコップをいかに上に向けさせられる。これが、教育指導のはじめの一歩だと考えています。

次回は、心のコップの上への向けさせ方について書いていきます。

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